「今何て…?」
「ん?何が?」
「ど、どんな子だって…?」
あぁ、暴走族の総長ってとこかな?
「暴走族の総長やってるの」
「暴走族!?」
お母さんはあたふた。
お父さんは固まったまま。
「あ、お母さんパン焼いてよ。」
「あ…うん……」
お父さんはハッとして、また準備を始めた。
少し、戸惑っていて、ネクタイを占める手がおぼつかない。
そんなに驚くことかな?
数分して、お母さんがパンを焼いて持ってきた。
「はい、美憂、焼けたわよ…」
「ありがと。」
焼きたてのパンをゆっくりと食べ始めた。まだまだ時間は余裕。
折角だからいつもよりのんびりしようかな。
「大丈夫なの?」
「何が?」
「暴走族って……」
「あぁ、大丈夫だよ。」
「そう……」
納得いかないようだったけどお母さんは、それ以上何も言わなかった。
「ごちそうさま!」
「美憂、ちゃんと彼氏さん連れてきなさいよ。」
「はーい」
「行ってきます。」
あたしが階段を上っている途中に、お父さんは仕事へ行ってしまった。
「行ってらっしゃーい。」
それだけ言って、自室へと戻った。