1人で、静かにボーっとしていると、廊下から階段を下りる足音が聞こえた。
「誰だろ…」
お父さんとは、毎日あまり会うことはない。
朝早く出て行って、夜中に帰ってくるから。
1人で部屋にいても暇。
下に下りることにした。
―ガチャ…
リビングのドアを開けると、驚いた顔をする、お父さんとお母さん。
「今日は早いのね…?」
不思議そうな顔で、あたしを見てくる。
「うん、お弁当作ってたから。」
「自分でか?」
「そうだよ。」
「何で2つもあるのよ?」
2人に質問攻めをされ、少し戸惑いながらも、きちんと答える。
「あたしのと、大ちゃんの。」
「大ちゃんって誰?」
「彼氏!」
「彼氏っ?」
お父さんは至って普通に座って、ご飯を食べている。冷静で、戸惑っている様子はない。
問題はお母さんだ。
動揺しているのが、見え見え。
「名前は何て言うんだ。」
「神岡大智。言わなかったっけ?」
「聞いてないわよー。今度連れてきなさい、お母さん見てみたいわ。」
「うん、分かった」
「どんな子なのよ?」
お父さんが席を立ち、仕事へ行く準備を始めた。
「んー…暴走族の総長やってるよ。」
「「………………」」
それを言った途端に、お父さんとお母さんの目が点になった。