「藍沢…」
「神岡?何でてめぇがここにいるんだよ」
この声はほんとに風磨?
いつもと違う、ドスの利いた声。
それに負けないくらい、大ちゃんの低くて、かすれた声。
会ってしまった。
総長同士が。
睨み合ってる大ちゃんと風磨。
威嚇したような目。
どちらも劣らないくらいの威圧感。
「あぁ…美憂泣かせてんのはお前か…」
「あ? てめぇ誰に向かって口聞いてんだよ。」
「分かんねぇか?神岡、お前しかいねぇだろ。」
風磨じゃない。
大ちゃんじゃない。
この人たちは誰?
あたしと話してるときと違う声、目つき、言葉遣い。
あたしの知ってる2人じゃなかった。
「美憂、行くよ」
風磨は、さっきとは違う穏やかな口調で、あたしの腕を優しくひいた。
「行くな、俺のそばにいろ。」
いつものような、俺様口調でそう言い、もう片方のあたしの腕をひいた大ちゃん。
「その手離せよ、俺の美憂に触んな。」
「俺の美憂? 笑わせんな。彼氏面してんじゃねぇよ!」
「彼氏面? しちゃ悪いかよ。俺、美憂の彼氏なんだけど。」
風磨の言葉を聞いて、大ちゃんは驚いたような顔をしてあたしを見た。
何も言わずに目を逸らすと、動揺した素振りも見せず。
「だったら奪うまでだ。」
そう言った。



