何を言っても聞きそうにない。
ヤバい、どうしよ…
ここまでしつこい人たちだとは思わなかったから、油断した。
ここはいつも来てるコンビニだし、今までこんな風になったことがなかったから。
「やだってば…!」
涙が溢れてきたときだった。
「離せよ。」
後ろから聞こえてきた低い声。
「その汚い手を離せっつってんだ。」
声の主の顔を見た瞬間に
「すいませんでしたっ!」
そう謝って、逃げていく不良達。
「あ、あの…ありがとうございました…」
振り返ってお礼を言った。
「どういたしまして、大丈夫だった?」
そう優しく声をかけてくれたのは、あたしの知らない人。
「あ、はい。 大丈夫です」
「君、名前は?」
「えっと、中原美憂です」
「美憂か、俺は風磨。藍沢風磨。よろしくな」
藍沢風磨……
なんか、聞いたことあるような…
……気のせいか。
「よろしく…」
年上かな…?
大人っぽいけど、優しそうな顔。
茶髪で、背が高い。
「じゃ、またね。 美憂。」
「あ、ばいばいっ!」
それだけ言うと、風磨は、歩いてどこかへ行ってしまった。
初対面なのに、助けてくれるなんて。
頭の中の半分は風磨のこと。
半分は大ちゃんのこと。



