何で来たがったのかは分からないが、とりあえず帰ってくれて良かった。
海斗、煩いから。
話が進まないんだよね。
「よし、邪魔者は消えたね。で、美憂、相手は?」
「へっ? 言わなかったっけ…?」
「聞いてないよ、誰なの?」
「大ちゃん。」
靴を履いて、歩き出していた柚ちゃんの足がピタッと止まった。
「………それって、健が忘れられないから?金髪君が健と同じ、暴走族だから?」
「違うよ、健ちゃんは関係ない。あたしは大ちゃんのことを言ってるんだよ。」
小林健。
あたしの元カレ、暴走族の下っ端だったやつ。
人懐っこくて、みんなに好かれてたらしい。
実際のところはよく知らない。何も教えてくれなかったから。
でもあたしは信じてた。
付き合ったばっかりの時の「大好きだよ」って言葉を信じてた。
人の気持ちは変わるもの。
"別れよう。もう好きじゃないから"
たったそれだけの言葉で済ませたあいつ。好きにならなかったらどれだけ楽だっただろう。
あんな事があってから、柚ちゃんは不良を嫌うようになった。
海斗も必死であたしを励ましてくれた。
この2人がいたからこそ今の自分がいる。
本当に感謝してる。



