愛羅武勇×総長様Ⅰ


何で来たがったのかは分からないが、とりあえず帰ってくれて良かった。

海斗、煩いから。

話が進まないんだよね。

「よし、邪魔者は消えたね。で、美憂、相手は?」

「へっ? 言わなかったっけ…?」

「聞いてないよ、誰なの?」

「大ちゃん。」

靴を履いて、歩き出していた柚ちゃんの足がピタッと止まった。


「………それって、健が忘れられないから?金髪君が健と同じ、暴走族だから?」

「違うよ、健ちゃんは関係ない。あたしは大ちゃんのことを言ってるんだよ。」

小林健。

あたしの元カレ、暴走族の下っ端だったやつ。

人懐っこくて、みんなに好かれてたらしい。

実際のところはよく知らない。何も教えてくれなかったから。

でもあたしは信じてた。

付き合ったばっかりの時の「大好きだよ」って言葉を信じてた。

人の気持ちは変わるもの。

"別れよう。もう好きじゃないから"

たったそれだけの言葉で済ませたあいつ。好きにならなかったらどれだけ楽だっただろう。

あんな事があってから、柚ちゃんは不良を嫌うようになった。

海斗も必死であたしを励ましてくれた。

この2人がいたからこそ今の自分がいる。

本当に感謝してる。