「ち、ちょっと…!」
「ざけんなっ!ブス!」
後ろで遼の怒鳴り声が聞こえる。綾香は気にしていないようだ。
「あ、綾香?」
「………………」
今度は無視!?
よく分かんない。
何なの?目的が理解できない。
「美憂ってさ、神岡君と付き合ってるんだよね?」
「えっ…?」
「付き合ってるのか聞いてるの。」
「あぁ、まぁ付き合ってるけど…」
綾香にはあんまりこういうこと話したくないんだけどな…
「カッコいいよね、神岡君。」
は…?
何言ってんの、この人。
「何なの、いきなり。」
「別に、大したことじゃないから。」
会話はそれっきりで、沈黙が続く。
さっきまで引っ張られていた手も、いつの間にか離されていて、綾香が別人のように見えた。
ここ数日で分かったこと。
綾香はあたしと2人だけの時はまるで別人。
「美憂、大丈夫?」
「んー……」
「最近神岡君と2人きりになってないんじゃないの?」
そうそう。なってないんだよね…
今でもやっと柚ちゃんと2人の時間なのに。まぁ綾香がトイレ行ってる数分間だけどね…
「大ちゃんと一緒帰ることすら出来ないし…」
「可哀想に…腹黒女のせいで。」
「はぁー………」
毎日一緒に帰ろうとせがむ綾香に、断ることの出来ないあたし。
「今日ぐらいは断っちゃえば?」
「うん…断る。」
今日は大ちゃんと帰ろう。
久しぶりに2人で、一緒に。



