「今日はバイク?」

「バイク嫌?」

「嫌じゃないよ、でも遼寒いでしょ?」

「ならチャリで行くか。」

そんなことを言っている間に、大ちゃんはもう行ってしまった。

「気をつけろよ。」

「分かってるって。」

「槙、バイバーイ!」

「おう、また明日な。」


―ガチャ…


「ねぇ、遼?」

「ん?」

「あたし考えたんだけどさ、遼のことあんまり知らないんだよね。」

「あー…確かに」

「だから、今日は聞きたいこといっぱい聞くね!」

自転車に跨りながら、遼は少し考えて

「答えられる範囲はね」

と言って笑った。


「じゃあ…兄弟は何人?」

「俺一人っ子だよ。」

遼はそう答えながら、自転車をゆっくり漕ぎ始めた。

「そっか、んー…好きな食べ物は?」

「甘いもの。」

「嫌いな食べ物は?」

「野菜!」

「あー…そんな感じする!」


そして話をしていく内に、いつの間にか恋バナ突入。

「遼は今好きな子とかいないの?」

「………いるよ」

「えー!誰!?」

「バーカ、教えないって」

「ふーん、教えてくれないってことは、あたしの知ってる人かー」

「なっ!」

図星なんだね…

「きーにーなーるー!」

「絶対言わねー」

「何で!?」

「何でも!」


このまま家につくまで格闘した結果。

「いずれ分かるよ、だからそれまで待って。」

うまく言いくるめられてしまった。

「……分かった」

「じゃあまた明日な。」

「うんっ、バイバーイ!」