初めて彼女にあったのは、引越して間もない秋の夕暮れだった。

アパートの廊下、彼女はぼくの隣の住人だった。

色白で目が大きくて、人間というよりは、お人形さんと言ったほうが似つかわしい女の子だった。

デート帰りだったのか、ピンクのワンピースに白いカーディガン、それも、モコモコと装飾のほどこされたカーディガンを羽織っていた。

彼女は自分の家へと、すたすたと歩き、まるでぼくを障害物かなにかの置物のように、ひらりとかわした。

すれ違いさまに彼女と視線があった時、彼女は少し微笑んでいた。