三人で一つの仕事をするのは、ぼくにとって、苦痛に近いものがあった。

主任で偉ぶる山下よりも河内百合の存在がなによりも欝陶しく感じた。

欝陶しいという表現は的確ではなく、違和感と言ったほうが的をいているだろう。

別に河内百合に落ち度があるわけじゃない。

ぼく自身に問題があるのだから、責めるならぼく自身か、ぼくを選んだ山下にある。

彼女は山下と口を聞くのがよほど嫌なのか、いろんな事をぼくに尋ねた。

そのたびに、ぼくは、言葉に詰まり、緊張するはめになった。

社会不適合者の烙印をぼくは毎回のように味わう。

けれど、どんなに言葉に詰まろうと、彼女はぼくを笑わなかった。

だからぼくには河内百合という女性は理解不能な存在になった。