SleepingBeauti

はじめて醜いものを目にしたのは、姉の通夜の席だった。

親戚たちは、急の報せにあわてふためき、用意もままらぬといった感じで、次々と現れた。

少し迷惑そうに見えた。

姉の棺に手を合わすと、決まって、みんな同じことをいう「かわいそうに」そう言う。

そして、久しぶりに会う親戚たちは挨拶をする。

「最近はどうだい?」

「景気がよくないからな」などと、愚痴をこぼす。

この中に、どれだけ姉の死を本当に悲しんでいるものがいるのだろうかとぼくは思った。

そして、お酒を飲み、陽気に笑う大人たちを、ぼくは、醜いと思った。

だから、自分だけは、こんな醜いものになるまいと思い生きていたつもりだった。

自分だけは、特別だと思っていた。

だけど、ぼくは特別なんかじゃなかった。