街を西へ東へと走りつづける。

狭い田舎街だと思っていたが、一人の人間をさがすのは、何百、何千ものパズルのピースをあてはめるのと、同じだ。

似ている姿を見つけても、あてはめてみると、あわない。

「ねえ、のぞみ、待って」息も絶え絶えで呼びとめた。

「何?」答えるのがやっと、といった感じ。

「やみくもにさがしてもしょうがないよ」息を落ち着かせて言った。

「そうね、このままだと家に帰るかも」のぞみは両膝に手をついて言った。

それにしても、のぞみがこんなにも、がんばることができるなんて思いもしなかった。

疲れで、息も絶え絶え。

それでも、走るのをやめようとしない。

ぼく一人なら、とっくのむかしにあきらめて、歩いて、やめていただろうと思う。

「コンビニの近くのバス停で待ち伏せしない?」

はじめからそうすべきなのだ。

やみくもにさがすよりも、効率がいい。

一本道のバス停なのだから、必ずとおる道で待ち伏せしたほうが、河内百合に会う確率は高いのだから。