SleepingBeauti

「ねえ、百合、お父さんに会ってあげてくれない」女性は遠慮がちに懇願するように言った。

「嫌、絶対に嫌よ」河内百合は嫌悪感をあらわにして言った。

それでも、対面に座る女性は引き下がらなかった。

「最後に一目だけでもいいから、お願い」

「お母さんは、わたしがどんな仕打ちをうけたか知ってるでしょ。それにお母さんだって、お父さんに泣かされていたのに―――こんなことで同情してどうするの?別れてしまえばいいのよ」そういって、河内百合は席を立った。

そして、河内百合は振り返り、ぼくたちに気付いたのだった。

ぼくたちに気付いた河内百合は、逃げ出すように店内を足早に後にした。

ぼくたちの行為を蔑むこともなく、ただ、自分の醜態を恥じるようにして。