SleepingBeauti

それから繁華街を歩いてうちに、のぞみが言った。

「あれ、河内さんじゃない?」

のぞみが指指す方向、喫茶店の2階窓側に河内百合の姿を発見した。

対面の席には、見知らぬ中年の女性が座っていた。

野次馬根性をあらわにのぞみが言った。

「ねえ、行ってみようよ」

「でも、人と一緒だし、悪いよ」

「だから、気付かれないように行くの」まるで、今から探偵でもするかのように目を輝かせている。

ぼくが返事をかえさずに黙っていると、のぞみはぼくの手をとり、半ば強引に店内に入った。

席を案内するウエイトレスを無視し、のぞみは静かに河内百合の席の斜め後ろに席をとった。

それも気付かれないように遠回りして。

プライバシーを侵害しないのが、のぞみだったが、それは、どうやら、ぼくに限りだったのかと、いまさらながら痛感してしまった。