SleepingBeauti

三度目にすれ違うときには自然と挨拶を交わしていた。

彼女は、ぼくに気がつくと、笑顔で「こんにちは」と、言った。

彼女が挨拶をしてくることをあらかじめ予想できたので、ぼくも、「こんにちは」と、返した。

人を遠ざけていたぼくが仕事のこと以外で他人に口を聞いたのは、久しぶりのことだった。

ある感情がぼくの中で芽生えはじめようとしていた。

だけどぼくは大きくかぶりを振った。

そんな訳ないと。