咲はそっと持っていた箸を置いて口を開いた。
「強くなんかないよ。私も、カナも、強くなんかない。」
「じゃあどうして、いつもどおりに振る舞えるの……?」
私の疑問に、咲は優しい口調で答えた。
「それを、結城くんと涼が望んでることだと思ってるから。」
「それくらい分かってる……。……けど。」
「分かってるなら、努力しなきゃいけないんだよ。そうしたらきっと、本当に笑える日がやってくるから……。」
咲の言葉に、果夏も続ける。
「大丈夫。頑張れる。」
「……うん、そうだね。」
私は今日初めて笑顔で二人に返事をした。


