「前に涼の家に遊びに行ったの。」
そのとき……
『わっ、ごめん!』
咲はおもいっきりジュースの入ったコップを倒してしまった。
『ったく、何やってんだよ……!』
涼は慌ててタンスからタオルを取り出した。
その勢いで、タオルと共にいくつかのものが出て、床に落ちた。
『涼、何か落ちたよ?』
『え?』
「その時見たのよ。涼は慌てて隠したけど、見えちゃったの。」
咲は俯きながら続けた。
「心臓病の薬が。だけど信じたくなかったし、何も言わなかったから見なかったことにした。だけど……。」
あの日、涼が病気だと告白した日。
本当なんだな、って実感したら……。
学校に行けなかった。
顔を見ると、現実を認めるような気がして。
「私は、逃げてたんだよ……。」
咲は辛そうにそう話してくれた。


