咲はまだ、ドナーカードのことを知らない。
言うべきなのだろうか。
言わざるべきなのだろうか。
考えに考えて、私は言うことにした。
あれ以来、涼とは連絡をとっていない。
移植を受ける気になってくれたのか。
未だに分からないままだ。
それも含めて、私は咲に話した。
「そう、なんだ……。」
話し終わると、咲はそれだけポツリと言った。
いろんな気持ちがあるのだろう。
『あがけよ!あがいて、あがいて、大切なものを守りぬけよ!』
あの日の孝志の言葉が鮮明に蘇る。
この言葉に、涼は何を感じただろうか。
「私、本当は知ってたんだ……。涼が病気だ、ってこと。」
「え……っ?」
咲から、思いもよらぬ言葉が出てきた。
病気を、知っていた?
また私の中で混乱が生まれる。
「どういう、こと……?」
私は驚きを隠せなかった。


