孝志はいつもの時間に我が家にやってきた。
私は慌てて鞄を持ち家を出る。
それは、いつもどおりの光景。
ただ、今日はそこに咲もいた。
「久しぶりだね、ミサ。」
「サキ……。」
少し、痩せただろうか?
以前と変わらぬ笑顔で話し掛けてきた咲を私は不安そうに見た。
「私、ちゃんと向き合おうと思う。」
咲は真っ直ぐな目で私の目を捉えた。
逃げてばかりじゃなくて、涼と一緒に闘いたいんだ。
はっきりと、咲はそう私に告げた。
嬉しかった。
咲が前に向かって進んでいることが。
現実と向き合ってくれていることが。
嬉しかった。
嬉しかったんだ。
だけど……
嬉しかったのに。
少しだけ。
苦しかった。


