『最後の希望』
そう言ったおばさんの顔が焼き付いて頭から離れない。
ちょうどその時、買い物から涼が帰ってきた。
「……来てたのかよ。」
「あ、うん……。ねぇ、涼……、病気、臓器移植で治るかもしれないんだって?」
私がそう言うと、涼はおばさんのドナーカードを破った。
「そういうの、悪足掻きって言うんだよ。俺は、そんなことしてまで、長生きしたくねぇんだよ。」
涼がバラバラになったドナーカードを捨てた時、孝志は涼の胸ぐらを掴んだ。
「足掻けよ!足掻いて足掻いて、生き続けろよ!誰よりも長く生きて、大切な人を守り抜けよ!」
いつもの孝志からは考えられない言葉遣いで、私は驚いた。
「……お前に言われたくねぇよ!!」
「うるさい!生きたくても、生きたくても、生きることの出来ない人間は、たくさんいるんだ。生きる可能性のある人間が、生きることを諦めるなんて、僕は絶対に許さないからな!」


