それから数日。
部屋の掃除をしていた時のことだった。
「あ、これ……。」
いつの日か、孝志に借りた本を美沙は見つけた。
もう、孝志の部屋を逃げ場所にすることはないよね。
こうやってお母さんと仲直り出来たんだから……。
だから……、返そう。
この本。
今度は遊びに孝志の家に行くんだ。
私は本を鞄につめて家を出た。
「突然行ったら、びっくりするだろうな。」
その時の私の顔は、誰から見ても幸せそのものだったと思う。
早く会いたくて足取りが早くなる。
会うと安心する。
頑張れる。
今はお母さんもいるからもっと頑張れる。
どんなことでも乗り越えていけそうな……
そんな錯覚に陥りそうになる。
そう、錯覚───…
それはすべて錯覚なの……
現実は甘くない。
間違いばかり。
それが現実。
錯覚との違い……。


