白を基調とした部屋に機械音だけが響いている。
「おそらく風邪でしょう。」
医者の言葉を聞いてすぐかなえは倒れたのだ。
雨の中、傘もささずに来て、着替えもせずにいたからだろう。
高熱を出したのだ。
医者は聴診器をしまい部屋を出ていった。
残った看護師がひととおり片付けをし、点滴を交換している時だった。
「颯、太……おかえり……。」
苦しそうにかなえはそう言った。
ずっと帰りを待っていたのだろう。
しかしもう颯太は……。
看護師はタオルでかなえの汗を拭った。
そうして、静かに病室を出ていった。
かなえの目から涙が一粒、零れおちた。
颯太はもう……
この世にはいない。
あの時の声はきっと
颯太─────……
『おかえり』
もう二度とあなたに言うことは出来ないのね。


