「いってきまーす」

キッチンにいるお母さんにまで聞こえるような声で私は挨拶をして、家を出た。

春の空は澄んでいてとても気持ちいい。

地元の駅まで着くと、私と同じ制服の生徒がチラホラ見られる。
真新しい制服に身を包んでいることを考えると一年生かな。

一年生の子達は新しい環境に慣れることに必死だと思う。だけど、それは上級生になっても同じで。
新学期は誰にとっても不安であり、目まぐるしい環境の変化に適応しようと必死なんだ。

鈴木くんと隣の席だからこそ、早く普通の私で接することができるようにしたいのに、慣れない私は、また素っ気なくしちゃうのかな…

鈴木くんが私のことよく思わなくて、もう話しかけてくれないかも…


考え事をしていたら、いつの間にか教室に着いてた。


でも鈴木くんの姿はない。

鈴木くんの机の横には鞄が置いてあったから、もう学校にはいるはずなんだけどな…




せめて、おはようとか言いたかったな…
昨日は上手に話せなかったならせめて今日は挨拶くらい普通にしたかったのに。

なんて、ちょっと残念に思っていると、後ろから名前を呼ばれた。