「なんでもない、気にしないで」

恥ずかしさやら、上手く説明出来ないからこの話を早く切り上げたいという焦る気持ちから、素っ気なく返事をした。

本当はもっとちゃんと話たいのに、鈴木くんを見るとどうも緊張して上手く話せなくなる。

隣の席になって、たくさん話せて本当はすごくすごく嬉しいのに、私はその気持ちと反対のことしか出来ない。

さっきまでこっちを向いて話を聞いてくれた鈴木くんだったけど、今はもう教卓がある教室の前をぼんやりと見つめている。

私の返事に対してそっか、と答えてくれただけで、彼はその日の帰りまで話しかけてはくれなかった。

もちろん私から話すことも出来なくて…。