「桜田さん、なに?」

「え?」

「だって名前呼んだじゃん」

ふわっと鈴木くんが笑う。

鈴木くんに言われて我に返った。
どうやら私はいろいろと考えている最中に無意識に鈴木くんの名前をつぶやいてしまったみたいだ。


思っていることをすぐに口に出してしまう癖が私にはある。

それが鈴木くんの前で出てしまうなんて。ましてや、彼の名前をつぶやいてしまうなんて。

これは結構恥ずかしいことで、名前を呼んだことに意味はないことを説明するのは難しい。無意識で呼んだなんて言ったら、きっと私が彼のことを意識していることがバレてしまうし。


「桜田さん?」