「あの争いは実際あったんだよ。だけど善と悪が反対なんだよ。奴は英雄だったんだ。今では二つの国に戻ってしまったが、奴は一つに統合したんだよ。…統合とは違うか。片方の国の国民が一人もいなくなったんだからな…一夜で。反抗する勢力がないんだからありえいほど平和だったよ。だが、その力に恐怖した六人の側近がいたんだよ。そんでひそかに会い対抗手段を考えて、考えて、考えた結果対抗手段を思いつき実験して、実験した結果出来上がったんだよ…。そして彼等は宴会が終わった後、水を持って行き、その水の中に出来上がった睡眠薬を入れて実行に移ったんだよ。」フェイは目線を下ろしたのを見て、エレジーが聞いた。
 「何があったんだ?」
 「寝込みを襲ってバラバラにしたんだよ。身体を。」
 「それだと蘇ったとしても人の姿をしていないということなのか?」
 「いや…。彼等は奴の力を奪うことにしたんだ。その方法は先祖の日記に書いてあったから楽に分かってな。一人一つ手に入れたんだが、一つだけ手に入れられなかったんだ…その名は、『無』全てを消し去れる危険な力だ。彼等はその力に魅了され、いつの日かその力を受け継げるような者が現れると考え、傷を癒し、氷で固めて封印したんだ。」
 「そんな事に何の意味があるんだ?そいつらには関係ないではないか。」
 「我々六人の誰かが『無』を手に入れてしまったら、我々の力の本当の持ち主であるレイジリアンが蘇る。手に入れた者の力を吸収してな。」
 「では何故そいつらはそんな物を残したんだ!」
 「知らなかったからだよ。私も過去の記憶を探って最近気付いたんだ。そして、『無』に対抗できるのは光と闇だけなんだ。たぶんタガールは闇を消せば誰も抗えないと思っているんだろう。お前達の記憶を消してあるから逆らわないだろうと思ってな。」
 「記憶を消すなんて事が出来るなんて…。」
 「レン城が見えてきたぞ。間に合えばいいんだが…。」後方からエレジーは声をかけられ振り返ると、そこにはスターツがいた。エレジーとスターツは、それぞれの事を細かく話し合った。二人は同じ答えを出した。それは…タガールを半殺しにする事であった。