「……えっと、先程も少
し話が出ましたが国家は
基本的にドラゴンの存在
を快く思っていません。
それこそ法律で厳しく取
り締まる程度には、ね」

「基本的……には?」

「はい。いくら国家自体
が影響力の強い機関であ
っても、それを形作って
いるのはあくまで一人ひ
とりの人間やドラゴンで
すからね。当然のことな
がら様々な考え方がある
というわけです」

「は!?国家の中にもドラ
ゴンっているのかよ!?」

「ええ、若干名ではござ
いますがいらっしゃるそ
うですよ?ではそろそろ
話を戻しますが、私は先
程“国家の中でも様々な
考え方がある”と申し上
げました。ここで壱加に
お伺いしたいのですが、
他にどのような考え方が
あると思われますか?」

「やっぱり“ドラゴンを
守ろう”……とかか?」

「――当たらずとも遠か
らず、といったところで
しょうか。正確にはドラ
ゴンを無闇に迫害するの
ではなく、逆に保護する
ことでその力を最大限に
利用して国の発展に役立
てようというものです。
ちなみにこの方針を強く
主張していたのが、今で
言う“守特構”の母体に
あたるグループでした」

「な……何かやり方は違
うみてぇだけど、結局は
国を良くするために俺ら
をダシに使おうってとこ
ろは変わんねぇのな」

「ま、まぁ元々この2つは
同じ機関の中にありまし
たからね。根本的な考え
が似通ってしまうのは、
どうしても否めないのか
もしれません」