何故。 ヒロが薬に手を出したのかは知らない。 でも。 死んだ魚になっても。 目の前で私が犯されていても。 “愛してるよ” って。 口は動かせるんだ。 声帯は震えるんだ――― そんな… イタイキモチはもう、 いらない。 あんなに苦しいキモチは、 もう、 いらない―――。 私はヒロといられなくなった。 ヒロの“愛してるよ” が、 二重にも、 三重にも聴こえだした。 どれが本当の声なのか、 聴こえなくなった。