「・・・ふぅ、どこに行ったのかな?」






 タイムの姿を探すが、辺りには木々が立ち
 並んでいるだけ。
 ラピスが走るのをやめて森の中を歩いてい
 ると、急に視界が開けた場所に出た。
 真ん中に一本、大きく太い立派な木が生え
 ている。






 「凄い大きい・・・・。こんな木あったんだ。
  ・・・あれ?」






 近寄って見ると、その木の下には可愛いド
 アがついていた。
 ドアには綺麗な装飾がほどこされていて、
 模様はそう、トランプのようだった。






 「ドア?開くのかなぁ・・・・」






 ラピスは好奇心に押され、ドアノブへと手
 を伸ばす。
 ドアノブをひねるとドアは開いたが、中は
 真っ暗でよく見えない。






 「すみませーん」






 誰かいないのか、確かめるように声をかけ
 暗闇へと一歩、足を踏み出した。







 「っ?!!きゃ〜〜ッ・・・・・・・」







 一歩踏み出した先には床がなく、ラピスは
 バランスを崩して穴に落ちてしまった。









 『暗い暗い木の中は、
  暗い暗い大きな穴。
  一体どこに繋がってるか?
  それは着いてのお楽しみ♪』








 どこからかそんな歌が聞こえてきた。
 それは、とてもとても楽しそうな、男の子
 の声だった。
 ラピスが落ちたその穴の上で、小さな三日
 月が笑って消えた。