放課後になり隣の席の亜美が僕の制服の袖をぐいぐいと引っ張ってきた。


僕は、亜美と憂鬱を連れて教室を後にした。




廊下から正門まで亜美に腕を引っ張られながら、何でそんなに急いでいるのかと亜美に聞いてみると最近建てられたショッピングモールに行くのだと僕の腕を掴んだまま左右に振りながら言った。




学校から近いバス停でバスに乗り三十分かけてショッピングモールに行くのだ。

ショッピングモールは商店街の真ん中に建てられたせいか、人混みが波のようにうねりをなして動いている。


そんな光景を見て怪訝な面持ちで僕は眺めていたのだが、知ってか知らずか亜美は再び僕の腕を引きながら人の海の中を避けながら飛び込んで行く。




どうでもいいのだが亜美は性格は明るく、素直で自分のことよりも人のために最善を尽くす奴だ。


まぁ要するに僕とは真逆の性格だという事だ。





ショッピングモールは筒型の形状をしており空に突き刺すように聳え建っている。

自動ドアを潜り抜けて、白い柱にショッピングモールのコーナー紹介が大雑把に書いてある。


一階は食材コーナーで二階は家具・電化製品コーナー、三階は娯楽・ファッションコーナー、四階は飲食店コーナーらしい。





亜美は洋服コーナーに行こうと初めから決めていたのかエレベーターの前に立ち上に行くためのボタンを押して僕の方を振り向き手招きした。


エレベーターのドアに真ん中の切れ目があり、左右にスライドして開いた。


エレベーターの中はカップルが二組乗っており、僕と入れ替わるようにカップルはエレベーターから出て行った。


僕と亜美以外に男性が三人、二人の女性が入ってきた。エレベーターは少し窮屈になりながら僕と亜美を乗せ三階に向かった。