『あたし、紺野 澪って言うの。よろしくね』 僕は澪を見て呆然としていた。 …と言うよりも、僕は彼女に見とれていた。 席に着くまで隣の席の女の子なんて、まるで気にも留めていなかったが、今こうして見た瞬間、胸が急に締め付けられる感覚を覚えた。 最初、自分の心がどうなってしまったのか… 自分は何を考えているのか… 自分の心の居場所が分からなくなってしまった。 澪がどうしたの?、というように首を少し傾けて優しく微笑む。 少し揺らめくセミロングの髪に、見え隠れする彼女の瞳。