何も言えず、白山君を見ていると、白山君は前へ向き直した。 私は覗き込むように彼を見てたから、彼も見られている事に気が付いたみたい。 その瞬間私は完全に焦ってしまい、考えがまとまらないまま、とにかく言葉が先に出てしまった。 『…ねぇ、白山君』 彼は私の呼びかけに気付いて、こちらに顔を向けた。 『私、紺野 澪って言うの。よろしくね』 今は自己紹介することしか思い浮かばなかった。 それでも私は自分の焦りを悟られまいと、必死に笑顔を見せ続けた。