『うん、この街で一番見晴らしの良いとこだよ』 そう言いながら澪は街の方に手をかざした。 沈みかけの太陽とオレンジに染まる街並みを背景にした笑顔の彼女は、僕の中では何よりも輝いて見えていた。 『僕もそう思って、気が付いたらここまで来てたよ』 『そっかぁ…』 澪は少しうつ向いて答えた。 『浩輝君に見せてあげようと思って、暖めておいたんだけどなぁ』 『…え?』 少し上目づかいの彼女は意地悪そうな顔をしていた。 『ホントは明日にでも誘おうかなって思ってたの』