東屋には誰かが座っているシルエットが浮かび上がっていた。 逆光のため、あまり認識は出来なかったが、少しでも良い景色をみようと、僕は構わず東屋に近づいた。 一歩踏み出した時、東屋から聞き覚えのある声がした。 『浩輝君?』 その声は…まさか… やがて山の端に夕陽がかかり始め、逆光が和らいだ。 『…澪?』 僕は姿をハッキリと確認もせずに、その名前を口にした。 目の前に座っていたのは、確かに澪だった。 『やっぱり浩輝君だ』