深く頭を下げて、やっぱり僕は慌てて図書室を後にした。 帰り道。 陽射しが痛いくらいだった太陽は西の空に傾き、自身が放つ光で街をオレンジ色に染めていた。 緩やかな風が吹いていて、夏の始まりとしては涼しかった。 まだ日没には多少時間がある。 僕はこの日、家まで十五分程の道程をあえて遠回りして帰る事にした。 まだ引越して来てから一週間弱。 この街の地理にはあまり詳しくなかったため、冒険気分で見知らぬ街を探検することにした。