「なぁ、」 「何?」 「ありがとな。うまかった」 あたしは日誌から目を離さなかった。 何のことだかわかるから。 「ホワイトデー期待してるよ」 「…義理のつもりだった?」 「…は?」 義理のつもり? 意味不明な言葉に顔を上げると、妖しい笑みを浮かべた樹吏が目の前にいた。 「…義理以外何があるって言うの」 …そうだよ。 義理だもん。