「あっちで話そ。」
「…うん」
少し距離を置いて、着いたのは旧校舎の科学室。
「付き合ってること、みんなには秘密な…」
私は涙が出た。
実はクラス対抗の模試があっててクラスの雰囲気は恋愛とかそんな甘ったるい感じではなかった。
涼はちゃんと考えていてくれたんだね。
「…ありがと。」
私がそういうと涼は、「泣くなよ」と言って抱きしめてくれた。
そっと涼は笑い、優しくキスをした。
「…涼ってキス魔」
そう言うと涼は、笑いながらキスをした。
少し優しく…
少しいじわるに…
「ははっバレたか。」
誰も来ない旧校舎の匂い……
だんだんと登校してくる生徒…
朝の香り……
そんなものも感じず、ただお互いの吐息が重なる瞬間を愛し続けた。

