「この御着ぐるみは、姫様の分身だ!足げにするなど、言語道断!」
「へええ?こんな薄汚れた汗臭い皮が、お姫様?」
「貴様…」
静は、すっと目を細めた。
「その身長でなれるヒーローなど、どこにいる?ウルコロか?ミニラか?」
「ぐ…っ…てめぇ、言っちゃなんねえ事を言ったな…?ピンクとか、結構需要あんだよ!」
「女形か、今と同じではないか。」
「全く違うだろ!」
殴りかかった烈を軽くかわして、静は振り向き様にハイキックを烈の横面に、ぶち込んだ。

吹っ飛んだ烈は、いくつもの折り畳みイスを巻込んで、床に倒れた。

「画面上見栄えがするかは知らんが、お前の大振りの癖は、矯正が必要だな。実戦では通用せん。」
「…実戦…?」
烈は強打した背中を擦りながら、起き上がった。
蹴られた怒りより、静から漏れた言葉の方が重要らしい。

「さっさとシャワーを浴びて来い!汗臭いまま、姫様をお迎えするつもりか!?」
静は失言をごまかす為に、慌てて烈を蹴りだした。