彼のキス一つで、すっかり潤みしっとりした黒い瞳で彼見上げた。

「あんた、こんな自分の姿見たこと無いだろ、官能的で嗜虐的な気持ちを抱かすんだぜ」

「もっと俺に縋らせて泣かせたい、俺無しじゃ居られない、斎賀をめちゃくちゃにしたい

「馬鹿な事言わないで下さい!」

彼をきつく睨みつけた。

「逆効果だ、斎賀…そんな潤んだ瞳で睨んだでも、男を煽るだけだ」


そんな時会議室の方から声がする。

僕は我に返り、相手の胸を強く押した。


離れた彼は、ニヤッと笑い僕の唇に軽くキスをして去って行った。


「なんなんだよ‥今の」

背後から声が近くなる、僕を捜す声だ。

「行かなきゃ…」

僕の身体に残る彼の体温や、強引でいて優しく甘い声の持ち主を…僕の身体は、その腕を忘れなくさせていた。