『―――あ、発見。』


まるで忍者の様に逃げ帰ろうとしていたあたしは、敵に簡単に見つかってしまった。


恐る恐る顔を上げるあたしの元に、敵であるエイジが近づいてくる。



『…どこ行く気?』


「…あはは…。」


と、笑って誤魔化してみたが、もちろん通用する訳もない。



『…待ち合わせ場所、反対方向だよね?』


と、エイジはあたしの後ろを指差す。


一方的に、場所だけ指定するメールを送ってこられても困る。


だけど、下手なことを言えば、この場所で襲われそうで。



「…じゃあ何で、あなたはアッチに行かなかったんですか?」


『…きっと来ないと思ったから。』



バレてましたか。



『…亜紀、何やってんの?』


「―――ッ!」


後ろから、神様が救いの手を差し伸べてくれた。


泣きそうになりながら振り返り、不思議そうにあたし達を見る目にすがる。



「―――ミチ!
今日、一緒に帰る約束してたよね?!」


『えぇ?!そうだっけ?
てゆーか何で、エイジ先輩と話してるの?』


キョトンとしているミチの視界の端に、ニヤリと笑うエイジの顔が映る。



『…へぇ。
“亜紀ちゃん”ね。』


「―――ッ!」


この瞬間、逃げられないんだと悟った。



『…俺、コレと付き合ってるから。』


「ギャー!!」


と、声を上げてみたが、時既に遅し。



『ハァ?!どーゆーこと?!』


ミチがあたし達の顔を交互に見比べながら、その瞳を大きくさせた。