そんなあたしにお構いナシに、エイジは一段一段足を進め、あたしとの距離を縮める。


そして今度は近藤くんを睨み、口を開く。



『…何やってんの?』



…いや、それはこっちの台詞ってゆーか…。



『…てゆーかコレ、俺のなんだけど?』


「―――ッ!」



…そうそう。


って、オイ!



「エイジ!」


瞬間、思わず声を上げた。


が、次の言葉が見つからない。



「…あたし達…別れたよね…?」


恐る恐る聞いてみた。


だけどエイジは大きなため息をつき、ゆっくりと口を開く。



『…俺、何も言ってないし。』


「―――ッ!」


瞬間、あたしと近藤くんの間に割って入ったエイジは、そのままあたしにキスを落とした。


重なる唇に、何が起こっているのか分からず、目を見開いたまま固まるあたし。



『…ってゆーことだし、アンタ、邪魔。』


『―――ッ!』


睨むエイジに、近藤くんは唇を噛み締め、背を向けて逃げるようにその場からいなくなった。


あたしはポカンとしたまま、腕の一つを動かすことも出来ないままだ。


幸いこっちの階段は人通りが少ないとは言え、誰かに見られていたとも限らない。


てゆーか、これじゃ近藤くんに失礼すぎる…。