暁の王は翡翠の姫に永遠の愛を紡ぐ

 よくよく見れば、臙脂色の服は血に染まっている。


『痛くないの? 結構、深手だよ?』


ーー……痛くはない、みたいだ。


『見た目はすごくひどいけど、そう仕組まれてるからね。動けないのは反動だから、数時間経てば問題ない』


……なら、もう少ししたら動けそうだな。


『うん。ーーねぇ。君は誰だかわかってるの、自分のこと』


……知らない。


『君は暁(あかつき)ーー世界に夜明けをもたらすものであり、最後の切り札だ。そして僕は、暁の血の記憶だよ主』


ーー……よく、わからないんだが。



『それより主。この先に泉があるみたいだから、そこで血を洗ったら?』


……そう、だな。