暁の王は翡翠の姫に永遠の愛を紡ぐ

出店を離れて人気のない方へ歩いていく。


空は次第に傾き始めーー淡いオレンジ色に染まりつつある。出店から離れれば、あんなに賑やかだったのが嘘のようだ。

ようやく落ち着ける場所を見つけ、適当な場所に腰を落ち着ける。


辺りにはまばらに木があるだけだ。


暁はさっき買ったばかりのりんごあめにかじりつく。カリッと音を立てて、どこか懐かしくて甘酸っぱい味が広がる。


懐かしくて、胸がいっぱいになる。



“ーー蒼……”



その名は、一体誰の名だろう。



昏く揺らめくその名は。