暁の王は翡翠の姫に永遠の愛を紡ぐ

今回のメインとなる舞を披露するであろうお社の前に暁はいた。鳥居をくぐったのはいい、問題はその後だーー誰かに見つかれば、関係者以外立ち入り禁止とか言われるかもしれない。


辺りは出店で賑わう通りとは違って、シン……と静まり返っている。


拝殿、本殿、その周辺にはいないようだった。暁の中の少年もさすがに見当はつかないのか、押し黙っている。辺りを見回しながら歩いていたらーーご神木と書かれている案内板を見つけた。



……行ってみるか



少し足場の悪い道を進んだ先にご神木はあった。堂々としたたたずまい、日光で煌めく葉はどこか神々しい。


「綺麗でしょ?本来なら今は人払いしてるはずだから、ここにいたらまずいんだけどね」

「ランホア……?」

「あ、やっぱりお兄さんだったんだ」


くすくす笑うランホア。先ほど会ったときと印象が違うのは、舞の衣装のせいだろうか。口紅もさしていて、髪も結っている。