暁の王は翡翠の姫に永遠の愛を紡ぐ

星の形をした花が出店を彩り、出店からはすでにもういい匂いが漂ってくる。甘い香りのものや香ばしいものーー暁が子どものように夢中になって眺めていたら、誰かが声をかけてきた。


花飾りをつけた娘が微笑む。


「お兄さんそんなに花祭りが珍しい?遠くから来たの?」

「まあ、そうだな。君は……」

「ランホアよ。今日ね星神様に舞を披露するの、お兄さんもぜひ見ていってね。はいこれ」

「……花?」

「旅人の道中の安全を祈ったものなの。ここはよく旅人さんが立ち寄る場所だから。お兄さんにあげるね」

「俺に?」

「だって旅人さんでしょう?あ、そろそろ戻らなきゃ!また後でねお兄さん」


村の奥の方にあるお社の方に駆けて行く。渡された花は羽のように軽く透き通っている。暁はじっと花を見つめーー


「……俺も行けるのかな」


どこかへ行きたいとか、行こうとか思わなかった。今なら、願ってもいいのだろうか……?