読んでいた植物図鑑のあるページに目が止まる。片隅にリオンのメモ書きが残っていることに気づく。

「……暁の薔薇は夜明け色の花。大切な人に贈るもの、永遠の絆の証。“いつかこの花を暁さんとみたい”……リオン」


暁の薔薇は大変貴重な花で、どんな病や酷い傷も治す万能薬とも書かれている。


その一方、どんな願いも叶える花とも。



ーー暁の薔薇、お前は知ってるのか?


“……さあね”


珍しく曖昧な答えだ。それ以上追求するなと言わんばかりに、そのまま沈黙してしまう。暁もさすがにそれ以上聞くことはできなかった。