「・・・ラオちゃん・・・」

おばさんが涙声で言う

「ママ、ママ、どうし、たの」

たくさん言えば、元気になる

魔法の言葉「ドウシタノ」

そう思い込んでいた私は、泣きながら言い続けた

「どうしたの、どうしたの」

「ラオちゃん」

おばさんは私を止めた

私はおばさんを見る

おばさんはおじさんをみろ、と言った

おじさんをみると、おじさんは首を振った

―イナクナル

「ママッ・・・ママァッ・・・」

―アエナクナッチャウ

「ママァ、どうしたのッ・・・ママァアアァ!!!!」


私の、最後の肉親が居なくなったときだった

私は当時2歳

もちろん、詳しくは覚えていない――・・・