「和則、やめろったら!」セロンは怒鳴った。とにかく、和則を架空の世界からひきずり戻さなければならない。和則に一歩、二歩近付いた。
「和則、シュート!……ゴ…」
「オフ・サイド!」セロンが叫んだので、和則はぴたりと静止した。オフ・サイド? ゴールじゃなくて? セロンと和則は長いあいだ目と目をみつめあっていたが、やがて和則がシュートの体制に入ったのをみて、セロンはいった。
「俺がキーパーになってやる。俺からゴールを奪ってみないか? 本物のボールで」
そういうと、茫然としている和則を連れて部屋を出て、角をまがり、通りを二つ歩いて近くの公園にある運動場へとやってきた。初秋だった。風はそよそよ吹いて、気温はまだ暑いくらいだが、どこか秋を感じさせた。午前中なので、子供達は学校でひとかげはない。ゴールポストがちょうどある。ボロボロのサッカーボールも転がっている。ラッキーだった。和則はボールを手にして、ポストのほうへ歩いた。
「まてまて、和則。キーパーは俺! おまえはそこから蹴るの。PK戦だよ」セロンはいった。和則はボールを手に立ち尽くした。キーパー? PK戦? なんだそりゃ?
「気を楽にしな、ベイビー! 審判はそんなに気長にまっちゃくれないぜ!」セロンは、和則率いるドリーム・チームの敵のキーパーになった。
和則はからっぽのグランドを見渡すばかりで、ぎこちなく痙攣している。立ち尽くしている。セロンはスポーツ・アナウンサーになった。「いよいよ、和則の登場です! ジーコ、ペレがきめて、これで和則が決めればドリーム・チームの勝ちです!」
和則は電撃にうたれたようになり、顔を緊張させた。美少女・魚田みすずであるはずの和則は股をひらき、シュートの体制にはいった。セロンは絶対に和則のシュートをとめられる自信があった。和則のシュートなどヘナチョコだ。すぐキャッチできる。そういう自信があった。ヘナチョコのシュート。ただのヘナチョコ。
「和則、シュート!」
「和則、シュート!……ゴ…」
「オフ・サイド!」セロンが叫んだので、和則はぴたりと静止した。オフ・サイド? ゴールじゃなくて? セロンと和則は長いあいだ目と目をみつめあっていたが、やがて和則がシュートの体制に入ったのをみて、セロンはいった。
「俺がキーパーになってやる。俺からゴールを奪ってみないか? 本物のボールで」
そういうと、茫然としている和則を連れて部屋を出て、角をまがり、通りを二つ歩いて近くの公園にある運動場へとやってきた。初秋だった。風はそよそよ吹いて、気温はまだ暑いくらいだが、どこか秋を感じさせた。午前中なので、子供達は学校でひとかげはない。ゴールポストがちょうどある。ボロボロのサッカーボールも転がっている。ラッキーだった。和則はボールを手にして、ポストのほうへ歩いた。
「まてまて、和則。キーパーは俺! おまえはそこから蹴るの。PK戦だよ」セロンはいった。和則はボールを手に立ち尽くした。キーパー? PK戦? なんだそりゃ?
「気を楽にしな、ベイビー! 審判はそんなに気長にまっちゃくれないぜ!」セロンは、和則率いるドリーム・チームの敵のキーパーになった。
和則はからっぽのグランドを見渡すばかりで、ぎこちなく痙攣している。立ち尽くしている。セロンはスポーツ・アナウンサーになった。「いよいよ、和則の登場です! ジーコ、ペレがきめて、これで和則が決めればドリーム・チームの勝ちです!」
和則は電撃にうたれたようになり、顔を緊張させた。美少女・魚田みすずであるはずの和則は股をひらき、シュートの体制にはいった。セロンは絶対に和則のシュートをとめられる自信があった。和則のシュートなどヘナチョコだ。すぐキャッチできる。そういう自信があった。ヘナチョコのシュート。ただのヘナチョコ。
「和則、シュート!」


