ミッシェルは返事をしなかった。まじめに話す気がないなら…。
「その…ただ…聞きたかったんだ……まだ終わってないって」セロンはすがるように言った。いまいましい電波にすがらず、目の前に彼女がいてくれたら。彼女を腕に抱くことができれば、もどってくるように説得できるだろう。ミッシェルが無言のままなので、彼はつけくわえた。「あの……俺、心配なんだ。まだ…終わってないだろう?そうだよな?」セロンは息を殺し、一言も聞きもらすまいと、携帯の受話器部分にきつく耳をおしつけた。 ミッシェルはためいきをもらした。「今日はやめて、セロン。あなたの気にいる返事はできそうにないから…しばらく様子をみましょ」
セロンは苦く笑った。「俺が苦手とすることだ。様子をみるっていうのは」
「あなたの苦手なことはもっと沢山あるでしょ」ミッシェルはくいさがった。しかし、彼女も傷ついていた。こんなボロボロの心のままでリングにあがり、闘うことなどできない。もう少し傷が癒えれば別だが。こんな状態では、セロンとも、もちろん和則とも渡りあえない。「もう少し……まって。お願い」ミッシェルは泣きそうな声でいった。
「……わかった…」セロンは電話を切った。やりきれない思いだった。仰向けになり、灰皿をとって胸にのせた。煙草に火をつけ、ふかした。セロンには、もう和則しか残っていなかった。
ここらでそろそろ和則に新しい服や下着を買ってやらねばならない。服は汚れが目立ってきている。しかし、女物の服や下着選びは恥ずかしい。しかし、もっと恥ずかしいのは現金が底をつきかけてるってことだった。つまり、金がないのだ。金欠。貧乏。
そして、セロンは「金がほしい」と、ガキみたいに思った。で、ハッとした。今、和則がテレビをみている。番組は”クイズ・ミリオンセラー”。クイズの賞金稼ぎ番組だ。魚田みすずこと和則は例によって正解を出しつづけている。
「
「その…ただ…聞きたかったんだ……まだ終わってないって」セロンはすがるように言った。いまいましい電波にすがらず、目の前に彼女がいてくれたら。彼女を腕に抱くことができれば、もどってくるように説得できるだろう。ミッシェルが無言のままなので、彼はつけくわえた。「あの……俺、心配なんだ。まだ…終わってないだろう?そうだよな?」セロンは息を殺し、一言も聞きもらすまいと、携帯の受話器部分にきつく耳をおしつけた。 ミッシェルはためいきをもらした。「今日はやめて、セロン。あなたの気にいる返事はできそうにないから…しばらく様子をみましょ」
セロンは苦く笑った。「俺が苦手とすることだ。様子をみるっていうのは」
「あなたの苦手なことはもっと沢山あるでしょ」ミッシェルはくいさがった。しかし、彼女も傷ついていた。こんなボロボロの心のままでリングにあがり、闘うことなどできない。もう少し傷が癒えれば別だが。こんな状態では、セロンとも、もちろん和則とも渡りあえない。「もう少し……まって。お願い」ミッシェルは泣きそうな声でいった。
「……わかった…」セロンは電話を切った。やりきれない思いだった。仰向けになり、灰皿をとって胸にのせた。煙草に火をつけ、ふかした。セロンには、もう和則しか残っていなかった。
ここらでそろそろ和則に新しい服や下着を買ってやらねばならない。服は汚れが目立ってきている。しかし、女物の服や下着選びは恥ずかしい。しかし、もっと恥ずかしいのは現金が底をつきかけてるってことだった。つまり、金がないのだ。金欠。貧乏。
そして、セロンは「金がほしい」と、ガキみたいに思った。で、ハッとした。今、和則がテレビをみている。番組は”クイズ・ミリオンセラー”。クイズの賞金稼ぎ番組だ。魚田みすずこと和則は例によって正解を出しつづけている。
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