しかし、和則の注意は自分の歯にうつっていた。口を歯磨き粉だらけにして鏡をみていた。「ほら!これで、すすげ」セロンはコップに水をいれて、和則に渡した。
和則はコップの水を飲み、すすいだ。そして、吐き出した。洗面台もコップも泡だらけになった。セロンは、「お前が救ったんだろ?」ときいた。
「1974年…」
だが、和則は誘いにのらなかった。黙ったままだった。
「救ったんだ……」セロンはささやくように、和則にいった。
「1974年12月3日……赤坂中央通りで……トラックにひかれそうだった外人の少年がいて……俺は救った…救った」
セロン・カミュの血管を衝撃の波が走った。確かに、その頃に、交通事故にあいそうになって……誰かに助けられたのだ。つるつるの坊主に。この二十年来感じたことのない感情が全身を駆けめぐった。バスルームにたちつくすのみだ。棍棒で後頭部を殴られたように。
「あんたが……あんたが……俺を?」あえぎあえぎだが、ようやく言葉がでた。どうやっていいのかセロンにもわからなかった。この男が……俺を……救って…くれた…?
セロンは和則から目を話すことができなかった。口もきけないくらいに驚いていた。彼と和則。セロンと和則。セロンと命の恩人。
セロンの目に脳に、そのころの思い出がよみがえってきた。僧侶のようなつるっ禿げの少年が自分を救った……そうだ! その通りだ! でも、まさか和則だったとは…。その時、彼はお礼をいい手をふった。ありがとう。ありがとう。しかし、少年は立ち去り、二度とセロンの前にはあらわれなかった。それが……和則だったのだ!
「あんたが……俺……を…?」
和則はコップの水を飲み、すすいだ。そして、吐き出した。洗面台もコップも泡だらけになった。セロンは、「お前が救ったんだろ?」ときいた。
「1974年…」
だが、和則は誘いにのらなかった。黙ったままだった。
「救ったんだ……」セロンはささやくように、和則にいった。
「1974年12月3日……赤坂中央通りで……トラックにひかれそうだった外人の少年がいて……俺は救った…救った」
セロン・カミュの血管を衝撃の波が走った。確かに、その頃に、交通事故にあいそうになって……誰かに助けられたのだ。つるつるの坊主に。この二十年来感じたことのない感情が全身を駆けめぐった。バスルームにたちつくすのみだ。棍棒で後頭部を殴られたように。
「あんたが……あんたが……俺を?」あえぎあえぎだが、ようやく言葉がでた。どうやっていいのかセロンにもわからなかった。この男が……俺を……救って…くれた…?
セロンは和則から目を話すことができなかった。口もきけないくらいに驚いていた。彼と和則。セロンと和則。セロンと命の恩人。
セロンの目に脳に、そのころの思い出がよみがえってきた。僧侶のようなつるっ禿げの少年が自分を救った……そうだ! その通りだ! でも、まさか和則だったとは…。その時、彼はお礼をいい手をふった。ありがとう。ありがとう。しかし、少年は立ち去り、二度とセロンの前にはあらわれなかった。それが……和則だったのだ!
「あんたが……俺……を…?」


