手に持った白百合の花が風に吹かれて頭を揺らす。それと一緒に私の髪も風にさらわれて、後ろにたなびいていた。






武浩が褒めてくれた長い髪。






一度は未練を断つため、切ろうかと思った。美容室まで行って椅子に座ったけど……


鏡に映った自分を見たとき……


私の髪を一束とって、銀色に光ったハサミが歯をおろそうとしたとき、なんだかむしょ
うに怖くなって逃げ出した。






武浩を忘れようと一瞬でも思った自分が自分じゃないみたいで、凄く…怖かったの。